仕事の上での酒の席なんて、なくなってしまえばいい。

トゥギャッターのアルハラの件で思ったこととか。
 
もう、かれこれ5年以上昔の話だ。
 
僕は当時、地元の紙器製造会社でパッケージのデザインもどきを考えたり製版データを制作したり、データの製作ミスで印刷機を動かしている工場長や上司からどやされたりして暮らしていた。
 
その会社は典型的な同族会社で、社長(後に会長になった)一族はやたら酒好きかつ酒豪ばかりだった。
特に、当時専務だった男の酒好き加減は、僕から見ても異常だと言えるレベルで、気のせいかも知れないが、午前中に営業に出かけて、夕方に帰ってくると、彼のスーツからは、なにやらアルコールらしき香りがする程だった。
 
田舎にある会社だから、営業には会社の営業車で出かけているはずなのだが、その臭気を嗅ぐたびに「どっかで飲んで帰ってくるのかなぁ」なんてことを思わずにはいられなくて、そのまま帰宅していく彼の後ろ姿を見てやりきれない気持ちになるのが、半ば日課のようになっていた。

そんなこんなでバタバタと毎日を過ごしていると、やがて年末になるわけで、年末というと忘年会というヤな催し物があるのがこの国のヤな所だと僕は思うわけですが、そう思い始めたのが、この会社に務めていた頃でした。それまで、忘年会というモノに縁がない職場にいた期間が長く、僕としても「酒くらい自分の好きなように飲ませて欲しいよな」と思う方だったので、この忘年会という催しが本当に嫌で、その場にいるのが本当に苦痛でした。
 
まず、僕はいつも不思議に思うのですが、自分で飲む酒くらい自分でついで飲みたいのに、そうさせてくれないのがイヤだ。
自分のペースで飲んでいるのに勝手にビール瓶を構えて「さあさあもっと飲みなよ」なんていいつつ、まだビールが半分以上残っているコップに無理やりビールをついで、結局コップからあふれたビールがテーブルをビタビタにするんですよね。もうね、ほっといてよと思うんですよ。マジで。
さらに、なんか上司のところにみんなでビールをつぎに行くのを見るのが嫌だ。もちろん、僕はそんなことはしないし、されるもの嫌だ。で、ビールをつぎに来た上司がよく解らない説教をしながら社員の席を順番に回るのも勘弁して欲しい。社長一族の巡回が終わると、今度は社長一族以外のちょっと偉い人がビール持って巡回するのを「いいかげんにしてくんないかなぁ」なんてことを思いつつ、それでも顔には出さずに我慢してその場にいました。
 
ある年の忘年会で、前述の専務が「ビールの早のみ競争をしよう」なんてことを言い出しました。
そこに呼ばれたのは、配送をしている社員が一人と、なぜか僕だったんですね。
僕はほっといてくれれば、ひとりで勝手に飲んで、勝手に酔っ払って帰るのになぁなんてことを思って、ヤな気持ちになっていましたが、なんかもう早のみに混ざらないといけない雰囲気になっていて、結局その、早のみ競争に参加させられてしまいました。
結果は、全く競争にならないくらいに専務が圧勝。
コップ一杯のビールを一瞬のうちに飲み干してしまい、なおかつペースが落ちないので、全然勝負になりゃしないんですよね。
僕はというと、そのあとの記憶がほとんど無く、気がつくと、家でいとおしそうに便器を抱えて全力で嘔吐していたわけです。もちろん翌日は一日寝込み、翌々日の昼まではマトモに動けませんでした。
 
で、翌年、仕事始めの時にその後の話をきいて回ると、味噌汁に焼酎を混ぜてご飯にかけて「うまいうまい」と言いつつ食っていたり、帰り際に「社長が四人に見えるので帰ります」といったりして、かなりとんでもない状態になっていたようで、話しを聞くたびにとても恥ずかしい思いをしていました。
 
僕はビールが大好きですし、焼酎も好きです。ウイスキーも大好きです。お金があれば、仕事帰りにビールでも飲みながら何かつまみたいと思いますし、昔は居酒屋でビール飲みながら読書したりとか、公園でビール飲みながらボーっとするとか、そういう休日の過ごし方をしていました。
 
そんな僕が言うのも何ですけど、どうして仕事の延長で「酒を飲むのがごく普通のコト」だという認識があたりまえだと思う人が多いんでしょう?
 
酒が飲めることって、そんなに大切ですか? エライことなんですか?
 
酒が飲めないことって情けないことなんですか? みっともないことなんですか?
 
 
こんなくだらないこと、いい加減にやめませんか?
 
 
いや、好きな人は、好きなままでもいいと思います。
でも、酒が飲めない人や好きじゃない人に、強制的かつ高圧的に飲ませようとすることは、いい加減にやめませんか?
 
世の中には、嫌煙権という言葉はあります。でも、なぜか嫌酒権という言葉はありません。それが不思議で仕方ありません。
それに、酒と同じように酩酊を及ぼす薬物(例えばマリファナなど)を他人に勧めれば犯罪ですが、アルコールは犯罪になりません(今でこそハンドルを握らない場合に限りですが、昔はメチャメチャおおらかでしたよね)。
 
 
どうして、ここまで酒を呑むことは優遇されるんでしょうか?
 
 
僕には全く理解できません……。
 
なんだかよく解らない日記ですが、つまり、「いい加減に『飲みニケーション』なんて言葉は死語になんねーかなぁ」って事なんですよ。
酒が好きなら勝手に飲めばいいし、飲みたくなきゃ飲まなくていい。そういう食事会でも、コミュニケーションが主題だったら全く問題ないはずです。
なのに、わざわざ感情の制御が難しくなる状態をつくりだして、コミュニケーションをしにくくしているのは、本末転倒だと思うのですがいかがでしょうか?