被災地にいるわけじゃないけど、出来れば聞いてほしいこと。

えーっと、皆さんお久しぶりです。
長々と放置していましたけど、今日はちょっと書きたいことがありましたので、久しぶりにここで思ったことをまとめておきたいと思います。
何のことかというと、まあ、みなさんご想像のとおり、今回の地震についてです。
地震についてといっても、僕は被災地にいるわけでもなく、その地にいる親類縁者の事を祈ることしかできないという按配ですので、それほど偉そうなことは書けません。
でも、金曜の午後、あの大地震が東日本を襲った時から、Twitterを眺めてきていくらか思いついたことがあります。
そのことを、綴っておきたいと思います。
 
Twitterを二日ばかり眺め続けていて、様々な思いを感じました。
絶望やいらだち、希望や決意、いろんなツイートがあったように思います。
でも、Twitterを通してできることなんて、本当に極々僅かです。
その極々わずかのことを、ゼロから1へ、マイナスからプラスにすること。
それが、一番大切なことなのではないかと、僕は思います。
 
えーっと、非常に抽象的なことを書いていますが、徐々に具体的な話になってきますので、少々お待ちを。
 
で、ですね。
そのゼロから1に変える作業について、ちょっと考えてみましょう。
これは僕の個人的な認識ですが、Twitterで何かの確かな情報を得ることって、実はずごく難しいと思っています。
その理由は、140文字というツイートの縛りと、非公式リツイートという仕様です。
 
まず、文字数についてですが、140文字という文字数では、必要な情報をすべて記述することはできません。
その仕様を回避するために、TwitLongerなどがあるのでしょうが、これはこれでなかなか面倒臭いので、連続してツイートをすることになることでしょう。
でもまたこれがクセモノで、個々のツイートが別の意図として解釈できるので、これだけをリツイートされたりすると、元々の意味とは別の意図になってしまうことや、余計なトラブルを呼んでしまうこともあるということです。
 
もうひとつの問題としては、非公式RTです。
これは、以前にも様々なところで問題になっていると思いますが、文字数を140文字に収めるために、元の投稿の内容を変えてしまえるため、意図的に内容を改変されてしまうという欠点があります。
中には、非公式RTで会話をするようなケースもあると思いますが、基本的にTwitterで会話をする場合はリプライによって行われることが仕様に沿った使い方だと思いますので、無理に非公式のRTを使う必要はないように思います。
 
このふたつの仕様のせいで、Twitterで正しい知識や情報を得ることは難しくなっていると思うのです。
それが、今回の災害で、数多く見られたような気がします。
その幾つかの例を出してみましょう。
 
コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し雨などといっしょに降る?
東北地方太平洋沖地震の直後に広がった人種差別と「レイプ多発」というデマ
 
このふたつ以外にもたくさんあるのでしょうが、とりあえず、ここではこの二つについて書いてみたいと思います。
まず、コスモ石油の爆発に関するツイート群です(一部アカウント名は改変してあります)。

千葉っ子へ、工場勤務の方から情報[→]外出に注意して、肌を露出しないようにとのことです。コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き、身体が雨に接触しないようにしてとの連絡がきました。

 
ピンと来ないかも知れませんが、この状態で既に大切な情報が幾つも欠落しています。
爆発したのが何のタンクで、どんな有害物質がでて、肌に触れるとどうなるか。そして、その情報を参照できる場所などはどこか。
そういった情報が既に欠けているわけですが、「工場勤務の方」という、とてももっともらしい補足情報のせいもあって、このツイートと同様のツイートが様々な場所に出回ります。
 

拡散希望千葉市近辺に在住の方! コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き、身体が雨に接触しないようにして下さい!!! コピペとかして皆さんに知らせてください!!

 

友人より拡散事項。 『工場勤務の義弟からの情報。外出に注意して肌を露出しないようにしてください!コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き身体が雨に接触しないようにして下さい 皆さんに知らせてください 』

 

工場勤務の人から回ってきた 外出に注意して、肌を露出しないようにしてください! コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き、身体が雨に接触しないようにして下さい!! コピペとかして皆さんに知らせてください!!

 
「工場勤務の人」が誰で、どういった被害があるのかが、分かっていれば、もっと具体的な話になるのでしょうが、具体的な情報がないために同じような内容のツイートが変化して伝わってしまう。その変化がまた真実味を演出しているようにも見えます。
しかも、残念なことにリツイートという仕様のために、このツイートがガンガンと拡散されてしまう。
他にも始末に終えないのが【拡散希望】というヤツです。これをみると、初心者ほどリツイートしたがります。困ったものです。
 

RT @hogehoge: どんどん拡散しろ!(拡散希望千葉市近辺に在住の方! コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き、身体が雨に接触しないようにして下さい!!! コピペとかして皆さんに知らせてください!!

 

RT @hogehoge: 拡散願います。千葉県民様に)))工場勤務の方から情報。外出に注意して、肌を露出しないようにしてください!コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨などといっしょに降るので外出の際は傘かカッパなどを持ち歩き、身体が雨に接触しないようにして下さい!!

 

RT @hogehoge: @fugafuga 拡散お願いします! 厚生労働省からの連絡です。千葉県及び近隣圏に在住の方。コスモ石油の爆発により有害物質が雲などに付着し、雨等と一緒に降るので万一に備え、外出の際は傘かカッパ等を持ち歩き、身体が雨に接触しないようにして下さい。

 
一定の情報は保持されていますが、内容は様々に変化して、徐々に不確かな情報になっていきます。
それで、本当はどうだったかというと……。
 

不安あおる偽メール 千葉の製油所爆発
 千葉県市原市コスモ石油千葉製油所の火災は、12日午前も同市消防局などによる消火活動が続いた。消防局によると、火勢は収まりつつあるが、出火から20時間以上過ぎても鎮火のめどは立っていないという。
 
 火災現場から数キロ離れていても、黒煙が見えてくるにつれ、焦げたガス臭が鼻をつき、1キロ圏内の建物では、ところどころで窓ガラスが割れていた。この日朝に、初めて地上からも放水が可能になり、出火から20時間以上たって、ようやく沈静化した。ただ、周囲の温度が上昇して一時撤退を余儀なくされるなど、消火作業は一進一退だという。同社関係者は「まだ鎮火していないが、火災のヤマは越えました」と説明した。
 
 LPガスの球形タンクが地震1 件で傾き、プロパンガスの配管を圧迫し、発火したもようだ。小型タンク12台と中型タンク1台が全焼。「爆発は6回ほど。すごい熱風と火柱で、社員はとっさに地面に伏せて、工場内の本館などのガラスが割れました…」。近所の住民は「空はキノコ雲みたいだった」と青ざめた顔で、振り返った。
 
 負傷者は社員の5人で、1人は地震1 件直後の工場内のパトロール中に爆発に遭い、全身やけどで重傷だ。約200人の社員は、11日から全員が帰宅せずに、緊急事態に対応した。同社は、鎮火後に公式会見を行う予定。【瀬津真也】

 

千葉県など行政がチェーンメール内容否定記事を印刷する
消火活動が続く千葉県市原市コスモ石油千葉製油所の火災で、「有害物質が飛散する」として外出などを控えるよう求めるチェーンメールが出回り、千葉県などは12日、「事実無根」として注意を呼び掛けた。県などに問い合わせが相次いでいるという。
 
 県消防地震防災課などによると、メールは「コスモ石油に勤める知人」から得た情報として「原油に含まれる有害物質が、水蒸気とともに雲に混在し、雨が降って皮膚や口から吸着すると人的被害が出る」と指摘。「千葉県湾岸付近の方は自宅待機が望ましい。できるだけ広めてほしい」などと書かれている。
 
 千葉県は「市原市内の12カ所で1時間ごとに大気観測を続け、いずれも環境基準を下回っている。影響はないので安心してほしい」としている。(共同)

 
これらの情報は、コスモ石油でも公開されていたし、LPガスのタンクであるということが予めわかっていれば、誰かが早く気づいたかも知れない。
どういった経緯でそれらのツイートがされたのかは僕にはわからない。
ただ、ひとつ言えるのは、それらのツイートを非公式RTで拡散させてしまった人は、ひとつの罪を背負ってしまったことになる。
 
それは、「その地に住む人を不安に陥れた罪」だ。
 
もちろん、最初のツイートをした人や、リツイートした人にその意識はないだろうが、そのツイートを読んだ人は、確実に不安に思ったはずだ。
今回は、それ以上の害を及ぼすことはなかっただろう。
しかし、もうひとつのケースは、ひょっとすると惨事に発展する可能性もあった。
何故なら、その根底にあるのは理解出来ない他者への排外意識だからだ。
 

阪神淡路大震災のとき、地震で、朝鮮人によるレイプ多発。みなさん、気をつけて。周知をお願いいたします。

 

拡散希望阪神大震災では偽のガス会社や水道局、電気工事、宅配便等を装った強盗や強姦がありました。皆さん、特に女性の一人住まいは気をつけて!

 

不審な外国人及び、外国人が集まる地区や、団体関連施設に注意しましょう。関東大震災及び、阪神大震災の時は、在日外国人の犯罪が増えた(窃盗、強盗、強姦)ことから、避難先の自治体等にその旨も伝え、不測の事態に対応できるよう備えましょう。

 

昔の関東大震災の際、朝鮮人の集団が強盗、強姦、殺人などを繰り返した歴史があります。中には物陰からピストルで狙撃したりなんてことも。 http://bit.ly/gL6nzO 今回、このようなことが起こらないよう祈っています。特に女性は信頼できる知り合いと行動して、気をつけて。

 

阪神淡路大震災を経験した友達が言ってた、逃げ遅れた女性とか難民を狙った強姦がたくさんあって、それで生まれて捨てられた子どもがたくさんいるって。地方側はそこら辺をあんまり公ににはしないけど、人災はほんとに怖いから災害があった時はヘタに動かない方がいいって。

 
関東大震災」や「阪神大震災」に「朝鮮人」が「強盗、強姦、殺人などを繰り返した」という事実があり、それが「今回も起こる可能性がある」という意図の、一連のツイートですが、それらが本当にあったかどうか、みなさんはご存知ですか?
中にはご丁寧にURLまで混ぜてツイートしている人がいます。
そのURLの先も、最もらしい新聞記事や画像にあふれていますが、それらは本当にあったのでしょうか?
 

関東大震災における流言
関東大震災後に警視庁が配布した、デマを流すと処罰する旨のビラ。
1923年9月1日の関東大震災発生後、実際よりも大袈裟な、朝鮮人(厳密には大韓帝国は1910年で消滅、1945年に解放されるまで日本領となっているため、国籍上は日本人であった)による略奪や暴徒化に関する流言があった。当時は報道手段が新聞や出版程度しかないため(ラジオ放送開始は大正末期の1925年である)一般市民が最新情報を入手しにくく、流言が広がりやすい環境下にあり、またそれ以前から朝鮮半島出身者が治安上の脅威と考えられていたことによる。詳細は関東大震災#影響を参照。
その時に流れた主なうわさを以下に示す。
朝鮮人が井戸に毒をいれた”
朝鮮人が放火・暴動を起こしている”
朝鮮人がクーデターを起こすため海軍東京無線電信所を襲う恐れあり”
具体的な情報ではなく、平時ではただの噂で終わるが、震災による極度の混乱と“日頃から「異国人」である朝鮮系に抱いていた恐怖心や憎悪・蔑視”などが重なり虐殺事件へと発展した。震災後の混乱に対する自力救済として各地で結成された自警団により、朝鮮人と間違われた日本人や中国人も含む多数が殺害された。多くの朝鮮人が各地の警察署に保護され難を逃れた(埼玉県本庄町の本庄警察署では、警察署を襲撃した民衆が朝鮮人を殺害した事件が発生している)が、実は流言の発生源のひとつは警察を統括する内務省であったとする説もある。

 
……事実は逆だったということです。
先程のURLで見ることの出来る画像は、それらの危機感を煽り、流言を加速させてしまった記事だったんですね。
阪神淡路大震災に関しても、震災後にそういったデマが広がりましたが、関東大震災での反省が活かされたせいもあったのでしょう、悲劇につながることはなかったようです。
Twitterはとても便利なサービスです。とても便利ですが、便利すぎるがゆえに、あなたが暴動に加担してしまう可能性だって、ないとは言い切れないんです。
 





 
前述した二つの例で、おわかりいただけたと思います。
簡単に使えるツールだからこそ、気を付けてつかわなければいけません。
特に、今回のような特殊な時だからこそ、情報を伝えるときは慎重にならなければいけないのです。
そのために、僕がお願いしたいこと。
それは、「参照できるURLを記載すること」と「リツイートは公式リツイートで行うこと」、そして「それが正しいかどうかを客観的に判断すること」です。
参照できるURLがあれば、その情報が正しいか、既に終わってしまった事柄じゃないかを判断することができます。
公式リツイートであれば、元のツイートがだれにでも分かり、情報の詳細を必要な人に伝達することができます。
リツイートする前に、他に正しい解決策が見つかれば、わざわざ不安要素を拡散させることもないのです。
特に言いたいことは、「不審者がいる」のなら、それを伝えるのはTwitterの向こうにいる人ではなくて、地元の警察であるということです。
限定された情報だけが伝わってしまう場合は、余計な情報が補完されることによって、予想できなかった出来事が起こる。
それは、皮肉なことに「関東大震災の時に実際にあった」出来事です。
そして、それで犠牲になったのは、中国人や朝鮮人だけでなく、日本人も含まれていたわけです。
こんな1なら、ゼロのほうがよっぽどましだというものです。
 
Twitterというツールは、そんな悲しいものではありません。
もっと、有意義で面白いツールのはずです。
 

#PrayforJapan――世界のTwitterユーザーが日本の被災者のために祈り
世界のTwitterユーザーが、「地震津波に直面している人たちのために祈ろう」と#PrayforJapanというハッシュタグでツイートしている。
 
2011年03月11日 18時36分 更新
 3月11日に東北地方で発生した大規模地震津波は各国でも話題になり、Twitterでは海外から「#PrayforJapan(日本のために祈ろう)」というハッシュタグで被災者の無事を祈るツイートが寄せられている。
 「地震津波に直面している人たちのために祈ろう」「これ以上悪い状況になりませんように」「地震の影響を受けたすべての人に神のご加護がありますように」――ユーザーらはこのようなツイートを投稿している。

 
#prayforjapan
それに関係する画像の一覧
 
今、世界中の人が、日本のために祈ってくれています。
これが、正しいTwitterの使い方だと僕は思います。
他の人を不安にさせるようなツイートは不要です。
正しい情報を、必要な人に確実に届けるように、考えてツイートしてください。
そのための情報の遅延は、全く問題ありません。
むしろ、いい加減な情報を早過ぎるタイミングで流してしまうことのほうが、実際は問題になるのです。
ですから、みなさんが重要な情報を誰かに伝えたいのであれば、伝えるべき相手に、誠意を持って語りましょう。
拡散希望】なんて書いちゃダメです。
本当に伝えるべき相手に、直接リプライしてください。
多くの人に知ってほしいのであれば、公式リツイートしてください。
無用な誤解を避けるためにも、それを守って欲しいと思います。
 
正しく使うことが出来れば、Twitterは非常に有意義なツールです。
短いツイートが同じ意図でつながれば、それは大きな力になります。
ゼロから1を産むことが出来るツールなのです。
マイナスの状況もプラスにすることが出来るのです。
それを忘れないで欲しいと思います。